2019.05.09

ミツカル事業

2020年までに5店舗!「和食日和 おさけと」山口直樹さん|社長インタビュー Vol.2

 

日本酒好きが集う大人の空間「和食日和 おさけと」。

日本橋神田御茶ノ水の2店舗を展開し、2018年11月には3店舗目となる「和食日和 おさけと 神保町」をオープン。「2020年までに5店舗を開店させる」という目標に向かっています。

ソムリエや酒匠(さかしょう:唎酒師よりも上位)などの資格を持ち、さらにバーテンダーや日本酒学講師といった異色の肩書きも持つオーナー、山口直樹さんに、店づくりにかける思いや独立に至るまでのストーリーを伺いました。

 

お酒は脇役、主役はお客さま

―日頃から京橋白木がお世話になっております。まずは、気になる「おさけと」という店名。この名前にされた理由について教えていただけますか。

山口 店名に関しては「お酒と〇〇」という意味合いがあります。

「お酒とお料理」だったり「お酒と楽しみ」だったり・・・「〇〇」に当てはまる部分は、それぞれのお客さまが自由に捉えていただければと。お酒と自由な空間を楽しんでいただきたいので、店名としてはあえて「おさけと」で終わらせています。

あくまでも、お酒は脇役、主役はお客さま

あとは「おさけと」の後に地名を入れて、検索ワードに引っ掛かりやすいようにということも考慮していますが、あまりいやらしくならないように(笑)

響きとしてもきれいに聞こえるように、語呂は考えています。

(左)料理長の金子さん (右)オーナーソムリエ 山口直樹さん

―そうだったんですね。店名に“お酒”が入っていますし、資格や肩書きからも日本酒がお好きだということだとはよくわかるのですが、まずは山口さんが飲食に魅力を感じたきっかけについて、お伺いできますか。

山口 高校生の時から飲食店でアルバイトをしていたのが大きいですね。時給がよく、賄いもあるアルバイトを探して受かっちゃったところから、今に繋がっています(笑)

 

楽しいだけじゃなく、憧れの仕事へ

ーちなみにどちらで、アルバイトをされていたんですか。

山口 池袋の居酒屋「甘太郎」です。まだ上場前の「コロワイド」の時代で、当時は20~30店舗くらいの展開。

その時のバイト仲間や店長とは、今でもお付き合いがありますし、単純に楽しかったですね。そこで、飲食の基本を学びました。

―その時から独立するお考えはあったのですか。

山口 さすがにアルバイト時代は楽しいだけで、特に「将来独立して」とは考えていなかったですね。

ただ、お酒をつくるポジションで楽しさを覚えて、高校3年生の夏休みにバーテンダーになりたい!と漠然と思い、バーテンダースクールに行ったんです。

そこから、18歳くらいでおぼろげに「お店出したいな」と思うようになりました。

―なぜ、バーではなく、料理も提供する飲食店を出店されたのですか。

山口 バーは夜中が中心で大変。単純に、ずっと続けるなら自分は体がもたないと思ったんです。

ただ「バーを出すにしても少し料理も作れなきゃ」と高校卒業後に、調理師免許を取りに行き、そのあと、ホテル学校にも行きました。その時の非常勤の先生がものすごい方で、当時「料理の鉄人」で話題だった坂井さんだったんです。

実際に坂井さんのお店で働かせていただいて、ソムリエの知識の深さと、所作の素晴らしさに感動しました。エレガントなサービスとは何か。常に見られている意識で仕事をする姿勢も、その時に培われたかなと思っています。

20代のころはチェーン店での展開の仕組みを学び、単価3万円と言われている接客や考え方を体感できたことは、今でも活きていると思います。

―素晴らしい出逢いですね。ソムリエをされていた時から、今のお店のコンセプトは出来上がっていたのですか。

山口 そうですね。ソムリエに憧れて仕事をしていたんですが、26歳くらいの時に、日本酒をきちんと学ぼうと思いました。

きっかけは、ある有名なソムリエの方がフランスに行ったときのエピソード。

「日本酒ってどうやって造るんだ?」とフランスで聞かれ、上手く答えられずにとても恥ずかしい思いをしたというエピソードを聞いて、「ああ、自分もそうだな」と思い、日本人のソムリエなら自国の日本酒も学ばなければと思ったのが、今の基礎となっています。

 

日本酒の深遠なる世界へ

ー日本酒はどこで、どのように学ばれたのですか。

山口 まずは、「日本酒」をキーワードに職探しをしたところ、ご縁があったのが「方舟(はこぶね)」の屋号でされている、前職の「株式会社セオリー」です。アルバイトから始めて、9年間。営業戦略部から、支配人といった管理職になるまでお世話になりました。

自分で独立するにしても、日本酒の消費量を増やしたいということと、自由度を求めていたんです。

ある程度任せて自由にさせていただいたことと、会社として基盤ができているところで、安定して日本酒の学びを深められたのは大きかったですね。

―そこから独立するにあたってのきっかけは何だったのですか。

山口 そうですね。結婚ですかね。僕の妻は、従業員3名くらいの宝山酒造という小さな酒蔵の娘なんです。

セオリーでは管理職にも就かせていただき、安定性はありましたが、だんだん冒険できなくなった環境と自分がいて・・・。学べば学ぶほど「日本酒業界を盛り上げていきたい、小さな酒蔵を守っていきたい」そんな気持ちが勝ったのが一番の理由でした。

妻には反対されましたが、後悔はないです(笑)

山口さんの著書『おいしいお酒の選び方

 

チャンスを掴む準備をする

―さすがですね。そこから今に至るのですね。それにしても、2018年から3店舗の開店。かなりのハイペースですね。

山口 ありがとうございます。そうですね、初めは自分でもこのペースで3店舗とは考えていませんでした。

でも1軒目のお店が軌道に乗るのが早く、人も揃っていましたし、物件も良いタイミングで立地・家賃などの条件が合うところがあり・・・おかげさまで思った通りに事が進んだので、3店舗目を出店するに至っています。

本当に全てのタイミングが上手く重なったのですが、チャンスを掴む準備をしていたのも大切なことだと、改めて実感することができました。

―タイミングと日々の準備が今の成功に繋がっているんですね。山口さんも各店を巡回されているんですか。

山口 はい。いずれも近い場所なので、自転車で行き来していますよ。3店舗目をオープンさせて、きちんと利益が出るようになったら、自転車を電動にするのが近々の夢ですね(笑)

―来年ぐらい、運転手付きになっているかもしれないですね(笑)

山口 運転手付き、いいですね(笑)

2020年の東京オリンピックまでに5店舗を目指しているのですが、そうなると、僕一人が自転車で巡回するのも限界があるので、それ以上を目指すとなると、やはり右腕となる人が必要ですね。

大規模な店舗展開は考えていないですが、ある程度の複数店舗がないと、従業員の休みや昇給、会社としての安定を得られないので。待遇面を潤沢なものにするために、新規の店舗展開はちゃんと取り組み、でも無理のないようにやっていこうと思っています。

 

3つの必須条件とは?

―しっかりと従業員のみなさんのことを考えていらっしゃるんですね。ご自身のご経験から「これだけは必須」という、経営面での工夫や思いはありますか。

山口 やはり、休みをしっかり取らせてあげることですかね。今はまだ出来ていないのですが、最終的には週休2日にしたいですね。

今できていること、必ず決めているのは「日曜定休」「ビジネス街のみでの出店」「商業施設(年中無休)には出店しない」という3つのこと。

全員が、日曜日は予定がたてられるようにして、お盆や年末年始は、自分の家で家族と過ごせるように。安心して働ける環境を整え、子供がいる世代の方にもどんどん入社してほしいと思っています。

全店止まっている状態で自分もしっかり休んで家族との時間を大切にしたいですし、スタッフの家族にも良い会社だなと思ってもらえるようにしていきたいですね。

「おさけと」さんの日本酒たち KURAND 日本酒オンライン

―店舗展開を計画的に、かつ従業員にも還元できるようにと考えられているんですね。では、お客さまにとってはどんなお店でありたいのか、目指している姿を教えてください。

「おいしい料理と酒」は当たり前として、接客を含め、温かみがあり居心地の良い雰囲気の店を心がけています。

いいお店は、一歩入ればなんとなく肌感でわかるもの。最終的にお客様がお帰りになるときに、良い空気感をまとってお帰りいただけることが一番ですね。

最終的には、“千利休”を目指したい。お客様によってそれぞれに心地よさは違いますが、「この人がいいというものはいいんだ!」とお客さまが感じてくださるような域までいければ、芸術かなと思うんです。

―では、そのための努力として、スタッフのみなさんにお伝えしていることはありますか。

山口 特にはないですね。基本的に指導はしませんし、自由にしてもらっています。

フォーマット化されたマニュアルは無いですし、その人なりの良さを引き出せたらと常に考えています。

人には向き不向きがあるので、それぞれの得意分野で活躍できるような環境づくりをし、とにかく楽しく働いてほしいですね。

基本的に、僕は従業員第一と思っているので、従業員にはお客様第一で働いてほしいですし、できるだけ思うことは伝えてほしいです。そして、まだまだですが、その家族や子供に、自信をもってこのお店で働いていると自慢できるお店にしたいです。

女性スタッフは今のところ4名ほどですが、徐々に増やしたい。働き方として、休みを増やしたり、給料の差をつけながら、いろいろな体制で雇用していきたいと考えています。

 

和食日和 おさけと 神田御茶ノ水
〒101-0062東京都千代田区神田駿河台3-1-1 大雅ビル3F
(新御茶ノ水駅 徒歩30秒)
050-3314-0171
https://osaketo-otyanomizu.gorp.jp/

和食日和 おさけと 日本橋
〒103-0027東京都中央区日本橋1-6-7 3F(
日本橋駅 徒歩1分)
050-3374-6545
https://osaketo-nihonbashi.gorp.jp/

和食日和 おさけと 神保町
〒101-0054東京都千代田区神田錦町3-16 五十嵐ビル1F
(神保町駅A9出口 徒歩3分)
050-3461-3335
https://gfvn502.gorp.jp/

 

シリーズ:社長インタビュー

㈱ウエストフードプランニング 小西啓介さん《前編》|社長インタビュー Vol.1

㈱ウエストフードプランニング 小西啓介さん《後編》|社長インタビュー Vol.1

「和食日和 おさけと」山口直樹さん|社長インタビュー Vol.2

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