2019.01.17

飲食店開業支援

“居酒屋ボルドー”のすすめ|「簡単ワイン導入術」4つのコツ&「おつまみペアリング」4つのポイント

 

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ボルドーワインといえば、「高級で手が届きにくい赤ワイン」「管理が大変」「洋食でなければ合わない」・・・などのイメージを持っていませんか?

確かに長期熟成した貴重なボルドーワインは有名ですし、世界中の愛好家にとって垂涎のワインであることは間違いありません。でも、それはボルドーワイン全体からすれば、ごく一部。種類も、スパークリング、白、ロゼ、甘口など、すべてのタイプのワインがあり、価格帯も幅広く、さらに品質の高いものが揃っています。

同様に、ジャンルを問わないラインナップで、比較的安価でもおいしいものが揃うのが、日本の“居酒屋メニュー”。

これに、ボルドーワインを合わせるというのは、けっして奇抜なことではなく、実はとても理に適った選択だということがお分かりになるでしょう。

そこで、日本の飲食業界の第一線で活躍するスペシャリストの見聞を交え、ボルドーワインをカジュアルに楽しむコツと事例をご紹介します。

 

ボルドーワインをメニューに加えるメリットとは? 

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業界向けに行われたセミナーの様子
株式会社シャルパンテ代表 藤森真氏

「少しのワインの知識、あとは売り方と考え方のちょっとしたコツだけ!それで、たくさんのメリットが生まれます」と語るのは、フレンチレストランでも経験を積み、現在“欧風ワイン居酒屋”を展開する、株式会社シャルパンテ代表の藤森真さん。

居酒屋の定番酒であるナショナルブランドのビールと異なり、ワインには

・多様性があること

・料理ごとに連動した提案ができること

・外食シーンを牽引する女性客を取り込みやすいこと

・1本ごとに仕入れができるため導入のハードルが低いこと

など、ワインを居酒屋メニューに加えるメリットは意外と多いもの。ましてや、選択の幅が広く、ブランド力もある“ボルドー”はうってつけというわけです。

「簡単ワイン導入術」なる、藤森さん流の4つのコツをご紹介しましょう。

1.新規にグラスや機材を購入しなくても大丈夫

高級なワイングラスがなくてもOK。「コップで飲むスタイル」「ビニールバッグ式のワインクーラー」などで、新たなかっこよさを演出することもできる。提供温度はおいしさに直結するが、フランスと日本でいう室温が違うことがポイント。赤はひんやりで、白やスパークリングなどはしっかり冷やして!がコツ。飲んでいるうちに変化する温度で、風味も変わる。

2.料理とワインの合わせ方は、自由に

「赤身の肉には赤ワイン、白身の肉には白ワイン、ハムやソーセージなどの加工品にはロゼ・・・」といった基本はあるが、自分の店の料理に合うものを自由に探求する楽しみを優先して、オリジナリティを出そう。

3.それでも、迷った時にはロゼワイン!

白ワインと赤ワインの両方の要素を持ち、リーズナブルなものが多いロゼワインは、まさに居酒屋メニューの最良の友。幅広い組み合わせが楽しめる。

4.スクリューキャップがあなたの味方

手間がかからず、保存場所の環境の影響も受けにくいスクリューキャップのワインは、ボルドーのカジュアルワインでもメジャーに。開栓後の劣化も少なく、グラス売りもしやすい

オペレーションのハードルが下がれば、あとは熱意と自由に探求する楽しみを。とはいえ、ワインと料理の合わせ方の基本は知っておいて損はありません。そこで「ペアリング4つのポイント」ついてもご紹介します。

 

ボルドーワイン×居酒屋メニューのペアリングのコツ

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業界向けに行われたセミナーの様子
「割烹 小田島」小田島大祐氏

「和食は原材料が豊富で、味付けがシンプルで柔らかいのが特徴。季節食材をわかりやすく楽しめるので、ワインも自分なりに組み合わせながら、その味わいをじっくり観察してみてください」とアドバイスしてくれるのは、“和食とワイン”の楽しみ方のパイオニア、「割烹 小田島」の小田島大祐さん。

小田島さんに教わった「ペアリング4つのポイント」は次の通りです。

 

1.補完 

食材や調味料の味わいに足りない要素をワインで補う。仕上げにレモンを搾るような料理に、フレッシュな酸味のあるソーヴィニヨン・ブランを合わせるなど。

2.中和 

料理とワイン、お互いの個性を活かして味わいのバランスをとる。脂のある肉料理に、渋味のタンニンがある赤ワインを合わせるなど、対局的なものを合わせるコツ。塩味の強いブルーチーズに甘口のワインを合わせるのも、この“中和”。

3.同調

料理に使っている食材や調味料の味わいに似たニュアンスを持つワインを合わせる。マグロの醤油漬けに、軽やかな酸味と深みのある味わいのメルロを合わせることで、共通する味わいを“フック(カギ)”として同調させ、膨らませる。

4.テクスチャー

質感や舌触りを合わせるというコツ。たとえば、サクサクとした揚げ物に、口の中で細かな泡が弾けるスパークリングワインを合わせるなど。“同調”のペアリングのバリエーションと考えてもよい。

料理とワインの組み合わせで、食の五味を完成させること、固定観念を捨てて何でも試してみること、そしてもちろん、ワインを楽しみ愛することが、これらの4つのポイントを通して見えてきます。

 

調味料も駆使しながら、自由にペアリングメニューを作ろう

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「おいしい」の答えは、ひとつではありません。味の好みは千差万別ですし、ワインと料理の組み合わせについても、絶対的な正解というものはありません。

でも、自分のお店の常連さんや今後来てほしいお客さんの好みには、傾向があるもの。それを中心に考えながら、また自分の店の料理を吟味しながら、さまざまなボルドーワインを合わせていくのは、とても楽しい探求となるはずです。

定番の居酒屋メニューとボルドーワイン。先ほどの4つのペアリングのコツを念頭に入れ、その相性をグッと近づけてくれる調味料も駆使すると、意外な発見ができます。その事例を、参考までに紹介しましょう。

・カツオの刺身 

にんにく、しょうが、青ネギに醤油、そこに純米酒を合わせたくなるのが定番かもしれませんが、<オリーブオイル・柚子・醤油>に<カベルネに由来する青い草の香りがするロゼワイン>の組み合わせは絶品。

山海の幸に幅広く合うロゼワイン。こうしたカルパッチョのような和洋折衷な食べ方にも“同調”し、おいしさを高めてくれます。

・もも肉の焼き鳥(塩) 

<練りゴマと生姜>と<樽のニュアンスがあるソーヴィニヨン・ブラン>という食べ方も。

塩の焼き鳥は少しわさびを付けて、生ビールでというのもシンプルでおいしいのですが、この組み合わせは、練りゴマと樽由来の香ばしい香り、鶏もも肉の風味が“同調”しつつ、しっとりとした“テクスチャー”も合います。さらに、しょうがの刺激とソーヴィニヨン・ブランの酸味で味わいを“補完”するようなイメージです。

・青野菜のてんぷら 

塩を付けてビールや日本酒を一口・・・となりそうなところを、大胆に“中和”のコツを使ってペアリング。<味噌・山椒・大葉の千切り>を青野菜のてんぷらの薬味にして、<甘口の白ワイン・ソーテルヌ>を一口。

野菜の持つ青々しい香りが、山椒と大葉でさらに高まり、うま味と塩味を持つ味噌が衣の油分に重なり、最後に、ソーテルヌのほのかな酸味と濃密な甘味が加わるという組み合わせです。ブルーチーズの代表格、ロックフォールとソーテルヌの有名なマリアージュを彷彿とさせます。

 

気軽なおいしさを生み出す“バリューボルドー” 

高品質ながら、気軽に飲めるボルドーワインは、1,000〜4,000円といった価格帯で揃っています。そのカリテ・プリな良さは、まさに“バリューボルドー”の名の通り。居酒屋メニューに寄り添いながら、新たなおいしさが生まれる可能性がたくさんあります。

「ああ、あそこの煮付けが食べたい。この前おいしかったあのボルドーの赤を合わせたらいいかもな。」

「今夜はボルドーのロゼで、いろいろつまもうよ!」

そんな会話が、日本全国、津々浦々の居酒屋から聞こえてきたら、ワインが本当の意味で、日本の日常の食に溶け込んだと言えるのかもしれません。

(by さすらいの食人S)

◎バリューボルドー一覧:
https://www.bordeaux-wines.jp/value-bordeaux/2018/list/

◎ボルドーワイン委員会日本公式サイト
現地からの情報やレシピなどの情報が掲載されています。
https://www.bordeaux-wines.jp/

information resource:ボルドーワイン委員会、Sopexa Japon

 

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