2019.01.31

飲食店開業支援

「連帯」から生まれる、ナチュラルな味。フランス生産量No.1のチーズとは?

 

食の伝統国、フランス。そんなフランスでもトップランナーとも言うべきチーズが、今日ご紹介する「コンテ(Comté)」です。

 

あなたは「コンテ」を食べたことがありますか?

もし「食べたことない」ということであれば、問答無用!まずは一度食べてみてください。

「嫌いな人が果たしているのだろうか?」と思ってしまうほど、万人受けするのが、このコンテというチーズなのです。

確かにコンビニや小さなスーパーには売っていないチーズですが、専門店でなくても、チーズの品揃えがそこそこある店なら、100〜200gほどのカットで売っている、輸入チーズでは“主役級”のチーズです。

コンテのふるさとは、スイスとの国境、フランス東部のジュラ山脈。フランシュ・コンテ地方の原産地名称保護(AOP)の認定チーズです。雪山で長い冬を越すための保存食の目的もあり、その直径は55〜75cm、重さは32〜45kgもあるという、かなりの大型チーズ!

最低熟成期間は4ヵ月ですが、より長く熟成されたものもあり、その熟成度合いによって、それぞれの香りや味わいが楽しめるのが、コンテの魅力です。

日本で手に入りやすいところで言えば、8ヶ月程度の熟成のものは、しっとりとした食感でミルクの風味がしっかりと感じられ、18ヶ月以上のものになると、香りも一段と豊かになり、うま味も増し、シャリシャリとした食感のアミノ酸の結晶も生じてくるといった具合。

一般的に言えば、料理に使うなら、熟成の若いコンテを。そのままでおつまみとして食べるなら、味わいもしっかりした長熟のものが好まれます。

でも「熟成期間だけに注目しないで!コンテはもっと奥深くて、面白いチーズなんですよ」と教えてくれたのは、ファビアン・デグレさん。

しなやかなコンテ。折ったところから、どんな香りがするかをチェック!

ファビアンさんは、2018年の春まで都内のナチュラルチーズ専門店にて10年以上勤務された後、フロマジェ(チーズの取り扱いや販売などのスペシャリスト)としての経験をさらに積むために、現地のコンテの熟成庫で約半年間、営業として活躍され、今年からはチーズコンサルタントとして、フランス国内外で活動されています。

 

コンテチーズ。それは、自然の“たまもの”

「コンテは、何からできている?」

・・・牛のミルク。(モンベリアードという固有種の牛が、コンテでは基本!)

「では、そのミルクは何からできている?」

・・・草などの餌。

「その草は、どんな種類?どんな環境で育つ?・・・」

そうです。チーズは自然と直接つながっているのです。ですから、熟成だけでなく、牧草、その土地の標高や、その年の気候、酪農家、つくり手(チーズ職人)の技術・・・チーズの姿になる前の様々な要素も、その味わいには深く影響してくるということになります。

コンテチーズは、一つひとつ違う。まさに「自然のたまもの」なのです。

ベースがやさしく穏やかな味わいだからこそ、風土(テロワール)を表すような様々なフレーバーが感じ取れるというのも、コンテの楽しいところ。専門の香りのチャートまであるくらいです。

個々の違いだけでなく、たとえば、夏につくられたコンテは、より多様で果実の香りが感じられ、冬のコンテはノワゼット(ヘーゼルナッツ)や豆などを炒った時のニュアンスがより感じられるなど、傾向もあるようです。

 

フルーツやスパイス、お酒とのペアリングの可能性も無限大!

多彩な香りの要素がありつつも、全般的にはマイルドな味わい。だからこそ、一つひとつのコンテの特徴を楽しみながら、いろいろな食材やお酒との組み合わせも楽しめます。

ファビアンさんが教えてくれた組み合わせは、

 

・メープルシロップやコリアンダーなどが入ったスパイスミックスを添えて
・ボイルえびのレモンマリネとティムットスパイス(柑橘の香りがある山椒の仲間)のピンチョス風
・柿とティムットスパイスの一口デザート風
・自然派ワインのような日本酒と合わせて
など。甘味や塩味、うま味などをどう組み合わせいくか、自由に探求!以前ご紹介した「おつまみペアリング」のポイントと同じ要領ですね。

安定感は「連帯」から生まれる

フランスの原産地名称保護チーズの中で生産量1位を誇る、コンテ。

予期せぬことがたくさん起きる「自然」と向き合いながらも、安定した品質のチーズをたくさんつくることを求められるのが、人気チーズの宿命。それをクリアしているキーワードが「連帯」です。

 

・コンテチーズのための牛を育て、ミルクを搾る酪農家(約2,500軒)

・ミルクを集め、チーズをつくるチーズ職人(工房)(約150軒の「フリュイティエール」)

・食べごろや出荷のベストタイミングも見極める熟成士(地元には約16軒の「アフィヌール」)

信頼の上に成り立った「餅は餅屋」の分業スタイル。

それぞれが専門業務に徹しながら、お互いを尊重し、プライドを持って仕事をする。ひとつの目的、ミッション、生きがいを共有し、同じベクトルに向かって進むなかで、コンテは生まれるのです。

ひとかけらのコンテチーズに詰まった、歴史と自然に思いを寄せて、一杯。飲食の世界に国境はない!そう思わざるを得ません。

(by さすらいの食人S)

■コンテチーズが買える店やレシピなどの情報もいろいろ!

日本語オフィシャルサイトは コチラ

取材協力:コンテチーズ生産者協会

 

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