2019.05.15
飲食店開業支援
伝説のバーテンダーによる《雪国》を求めて|ケルン(山形・酒田市)
今年1月の記事「映画で学ぶ食|伝説のバーデンダー、そして分かち合うチーズを。」で宣言(?)した通り、念願の「ケルン」を訪れてきました。
「ん?ケルンって何??」という方もいらっしゃると思いますので、ちょっとおさらいしておきましょう。
世界的なカクテルが生まれた日本の店
カクテルは、クリエイション。
バーテンダーの感性と技術が時代とともに昇華され、今も世界中のバーで、個性あふれるオリジナルのカクテルが誕生しています。
そんななか、ジントニックやモヒートなど、バーテンダーなら誰もが作ることができて当然!というスタンダードカクテルがあります。
そのひとつが、日本生まれの「雪国(YUKIGUNI)」。この山形県酒田市の「ケルン」は、その「雪国」を生み出した井山計一(いやま・けいいち)さんのお店です。
井山さんは、現在92歳。今も「ケルン」で、シェイカーを振っています。
◎映画「YUKIGUNI」
詳細は コチラ
いるのか、いないのか。当日の勝負!
訪れたのは、5月5日の子供の日。史上初の10連休というゴールデンウィークももう終わりというタイミングでした。
「連休中はお休みなんじゃないか!?」という懸念があったので、3月初めにお店に電話。すると、なんと井山さんご本人が電話に出られました。
「5月5日かぁ・・・休業日じゃないんだけど、分かんないなぁ。連休はたくさんのお客さんが来てくれるから、うれしいんだけど、後半は疲れちゃうんだよ。休みになっちゃったらごめんなさいね(笑)」
営業日は毎日店に立ち、シェイカーを振る92歳のレジェンド。私は「はい、もしお店が開いていたら、必ず伺います」とだけ告げて、電話を切りました。
そして、迎えた当日。
昼間は息子さんが喫茶を担当していますが、井山さんによるバータイムのオープンは19時。ドキドキが止まらない私は、18時には店に向かってしまいました。
おそるおそる外から店を覗くと、スタッフ3名と井山さんの姿が。「よっしゃ!」と思わずガッツポーズが出てしまったのは言うまでもありません。
真剣なまなざし、心地よい酔い
19時のオープンまで待ち、注文したのはもちろん「雪国(YUKIGUNI)」。
井山さんは「はい」と一言答えると、無駄のない所作で、そのシグニチャーカクテルをつくり始めました。
レモンにナイフを入れ、カクテルグラスを手に取り、グラスの口をレモンの断面に軽く押し当てながら、グラスを満遍なく回す。
そして、レモンの果汁がついたグラスの口を砂糖が入った容器の中でクルリ・・・こうして、井山さんが開発したシュガーのスノースタイルが生まれます。
ミントチェリーをグラスの下に入れたら、準備は完了。ウォッカベースに、ホワイトキュラソー、ライムコーディアルを入れ、シェイカーを振る。
注ぎ入れが満遍なくいかなかったのは、ご愛嬌。完成です。
伝説のバーテンダーがつくるカクテルに添えられたお菓子が、昭和感満載なのもオツで、素敵。
昭和から平成を超え、令和になって5日目の訪問。
多くを語らずとも、その所作と店構え、そしてカクテルの味から伝わるものは多く、その厚みのある体験は、かけがえのないものとなりました。
1杯のカクテルも一期一会であるということ。
心地よい酔いが体に沁み渡る、そんな山形・酒田の夜でした。
(by さすらいの食人S)
ケルン
山形県酒田市中町2-4-20
0234-23-0128
喫茶 10:00~17:00
バー 19:00~22:30
不定休
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